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深圳の土地売却益による上方修正あるか? 宮越ホールディングス (6620)

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宮越ホールディングスが二日連続ストップ高となりました。中国深センに所有する土地に絡んで再開発が進行中であり、その土地の売却をめぐって思惑が駆け巡っております。

計画自体は今回初出というわけではないようですが、会社側から「深センプロジェクト」と題された特設ページが開設され情報が発信され始めたことをきっかけに特別利益計上の思惑が刺激されたようです。

 

今回の会社発表のポイントはどこか?

会社発表を整理すると次のようになります。

  1. 深圳市政府は2016年、同社が土地使用権を所有する深圳市・福田区の開発予定地内に道路建設を計画、対象となる用地の使用権を市に譲渡するよう求めてきた
  2. 宮越ホールディングスは、深圳市政府の申し入れを受け入れ、2014年に譲渡した際に利用したのと同じ資産評価会社を選定し資産査定の作業に入った。道路用地のほか道路建設で取り壊しが避けられない工場や建物などの資産価値を査定する
  3. 前回の譲渡では、譲渡価格は43億5460万円となり、譲渡益42億6415万円が生じている譲渡の規模は用地が前回の2.1倍、建物が1.6倍である

宮越ホールディングスは「中国・深圳市の中心部で既存の工場用地を再開発し、ハイテク複合都市を建設する計画を進めている。社内での呼称は『ワールド・イノベーション・センター』(略称WIC)。行政当局の強い要請を受け、当社グループが開発主体となり取り組んでい」ます。

それに関連して政府の側で道路建設計画が立ち上がり、道路として供される土地の使用権の譲渡を求めてきたということのようです。しかも、その譲渡の規模が非常に大きい。前回42億円の譲渡益が出た2014年の土地の2.1倍となります。

大きく値上がりする深圳の土地価格

土地の広さが2.1倍ということは単純に前回の譲渡益を2をかけると84億円になりますよ、ということなのでしょうか。もちろん、それだけではないはずです。中国、しかも成長著しい深圳です。土地価格の値上がり自体も非常に大きいと考えられます。

たとえば、これはCEIC データベース(元データは中国国家統計局)による土地の価格水準のチャートです。

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(出展: 急騰する住宅価格 ― 中国にとって福かそれとも禍か ―

上のグラフを見ると、2014年は中国の不動産市況があまり良くなかった年にあたります。その翌年、2015年は反動でしょうか前年度比+70%となっています。この後の都市のデータはうまく見つけられなかったのですが、紆余曲折はありつつも深圳の土地の水準はさらに上がっている可能性は十分にありそうです。

そう考えると、前回の2.1倍では収まらない譲渡益が期待されます。また、土地使用権の売却だけでなく、道路建設と同時に行われるであろう宮越ホールディングス主導のWIC開発も注目です。これにより単発の特別利益だけではなく、再開発完了後には継続的な営業収益の確保が期待されます。

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そもそも宮越ホールディングスってどんな会社?

深圳プロジェクトおよび道路建設に絡む土地使用権売却は、非常に期待の高いディールだということはすでにお分かりかと思います。しかし、宮越ホールディングスとはいったいどんな会社なのでしょうか。四季報では次のように説明されています。

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【特色】旧クラウン。中国の不動産賃貸が柱。家電の海外販売は撤退。11年持株会社化。経営に不透明感

【連結事業】不動産開発・賃貸管理100【海外】100 <17・3>

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もともと音響メーカーだったようですが、宮越氏が株を買い取り家電・音響事業を売却しもともと持っていた工場用地を不動産賃貸業に活用しているのが現状のようです。

しかも、四季報によると記者の取材依頼には一切応じず経営実態には不確定要素が多いとされています。また、貸付先の実態も不透明とのこと。

さらに調べると次のような記事が見つかります。

中堅の音響機器メーカーだった「クラウン」が発祥で、元代表取締役の佐久間繁晴氏が設立。同社は60年に株式公開する。

しかし、経営不振から大手スーパーだったダイエー傘下に。だが、ダイエーは再建できず持ち株を手放す。その株を買い取ったのが、現・宮越ホールディングス会長兼社長の宮越邦正氏(74)。83年7月のことだ。

以来、金融業などを行っていた「クラウンユーナイテッド」(現在宮越HDの株式約23%保有)の代表取締役である宮越氏が実質、経営権を掌握

(略

もっとも、いまや同社の業績は見る影もない。

クラウンが上場していた91年度、同社は年商約958億円、経常利益57億円だった。だが、現在、家電の販売から撤退しており、唯一の事業はかつて家電工場があった中国の跡地などの不動産賃貸収入といってよく、16年3月の売上高は13億6500万円、経常利益3億8200万円に過ぎない。

アクセスジャーナル | 浮上ーー「宮越ホールディングス」社長豪邸の競売逃れ疑惑

それだけではありません。仕手株としてにぎわせていた時代もあったようです。

現在も会長兼社長を務める宮越邦正氏(74)が経営権を握ると株価が急騰急落を年中演じるようになった。(冒頭写真=宮越ホールディングスのこの1年の株価チャート)

例えば1988年のクラウン時代、株価は3000円前後だった。ところが、89年後半になると急騰し倍の6000円を突破。こうしたことから、この時期、仕手株として兜町では輝いていた。

もう30年近くも前のことなので時効だろう。

当時、JR大森駅前に本社ビルを構えていた(現在もその近く)が、そこにはディーリングルームが備わっていた。元山一証券の腕利きを雇い、せっせと自社の株価引き上げを演じていた。当時は許されていた時代だ。そして大森、蒲田界隈の金融、不動産屋に「うちの株は1万円になるから買っとくべき!」と盛んに連絡していた。借金で自社株を買い上げていたのが実態だったようだ。

ところが、バブル崩壊でクラウンの経営は悪化。業態もAV機器メーカーから貿易仲介業務に。メーンバンクだった旧三和銀行の貸付金は焦げ付くことになる。しかし宮越社長はしたたかで手形を切らないため倒産はしない。そして90年代も初頭は大相場を演じていた。 しかし、93年10月、「宮越商事」に社名変更した当時はすでに株価は下がりきり年初780円が11月には222円までに。それでも96年後半には1190円まで急騰したことも。

No.10823 かつて「クラウン」という中堅A… - 6620 - 宮越ホールディングス(株) 2015/04/28〜2016/06/07 - 株式掲示板 - textream

 ますます、怪しいですね。IRで紹介されているプロジェクト内容・土地使用権の譲渡は非常にいい材料に思えますが、会社自体の不透明さからくるリスクを考えるとどうでしょうかね。好材料で株価釣りあげておいて大きな増資が出てくることも考えられそうです。

実際、2016年には第3者割当増資が行われたようです(記事: 宮越ホールディングス、第三者割当増資を実施|M&A ニュース速報 | M&A タイムス)。幸い、当時の株価にはあまり悪影響はなかったようですが。

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さらに情報を深堀するには

ありがたいことにすでに宮越ホールディングスをフォローし続けている方がいるようです。私が発見した情報源のうち、こちらのまとめが一番詳しくまとまっていました。

宮越ホールディングス 考察まとめ - Togetter